特集 ライフステージに合わせた地域支援
障害児の地域支援—発達障害を中心として
米山 明
1,2
1心身障害児総合医療療育センター小児科 外来療育部
2板橋区子ども発達支援センター
pp.502-511
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200424
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はじめに—障害児支援は「医学モデル」から「社会モデル」へ
子どもの発達障害を含む,障害児およびその疑いのある子ども(以下,障害児)への発達支援すなわち「療育」のあり方について述べる。
「療育の父」と称される高木憲次先生は,東京大学医学部整形外科教授であった頃から,「現代の科学を総動員し」「狭義の医療のみにて満足すべきでなく,すべからく社会的生存能力を獲得するまで尽くすべき」という「療育の理念」を掲げ,昭和17年に日本初の肢体不自由児施設として,筆者が所属する心身障害児総合医療療育センターの前身である整肢療護園を設立された。その後,さまざまな障害に対して療育が培われ,平成23年公布の改正障害者基本法で,「第17条 療育」という項目が初めて法律に収載された。平成26年7月に「障害児支援の在り方に関する検討会」の報告書が厚生労働省より出された。基本理念として「障害児本人の最善の利益の保障(発達保障)」と子育ての基盤となる「家族支援」が重視され,身近な地域において「縦横連携」の推進が打ち出され,いわゆる「医学モデル」であった従来の「療育」から,地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進する「社会モデル」としての「療育」への変貌が求められている。療育のあり方について,全国児童発達支援協議会(CDS Japan)は「発達支援(療育)の指針 2016年版」を発行しており,障害児とその家族への地域支援のあり方の参考となる(図1,2)。
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