The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 19, Issue 10
(October 1985)
Japanese
English
講座
小児の運動発達 4.知覚の発達
Motor Development in Children. 4. Development of Perception
小西 紀一
1
Norikazu KONISHI
1
1京都大学医療技術短期大学部
1University of Kyoto, College of Medical Technology School of Occupational Therapy.
pp.695-702
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103423
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はじめに
運動発達の原理(本巻第7号)において中村が述べているように,運動発達に対するアプローチは多様で,いまだ統一された理論を持つに到っていない.こうした状況において統一化への契機として大きな役割を果たすのは臨床場面での実践による成果であろう.しかしそれもただ成果を積み重ねるだけでは経験主義に陥ってしまい,予測性に制限をうけることになろう.あらかじめある程度限定された枠組の中で実践による成果を分類・整理することによって科学的理論として精錬されていくべきだと考えられる.換言すれば,ある程度限定された枠組,すなわち任意の理論モデルを暫定的規範として設定し,その妥当性および信頼性を検討し修正を加えていくことによって最終的に統一されるものであると言える.
臨床の場において,妥当性・信頼性の検討は理論モデルを評価の手段として帰納的に,治療原理として演繹的に適用する結果得られるものによってなされるものと考えられよう.このような前提に立ち,本稿では知覚運動発達に視点を定め,待に運動を制御する一要素として知覚の発達を把えることにし,知覚発達の水準がいかに運動を規定し,また,運動発達の水準がいかに知覚を規定するかという,相互作用を解き明かして行きたい.その中で,筆者自身の臨床経験の中から,最もよく事象を説明できるものとして採用している理論モデルを紹介することになるが,その評価の手段としての適用と限界,また,治療原理としての適用と限界については読者の実践的批判を受けて検討がすすめられることを期待している.
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