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特集 脳性麻痺
脳性麻痺治療の原理―神経生理学的治療の原理
The Principle of the Neurophysiological Treatment of Cerebral Palsy
高松 鶴吉
1
Tsurukichi TAKAMATSU
1
1足立学園
1Adachi-Gakuen.
pp.535-540
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101730
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Ⅰ.はじめに
脳性麻痺(以下CPと略)の神経生理学的治療法は,1970年代の初頭,ほぼBobath法で統一されつつあるかに見えた.しかしそれ以後,独自の方法論と手技をもつVojta法が次第に一つの技術体系として確立されてくると同時に次第に広められ,1975年,わが国で最初の講習会が開催された前後から,いくつかの紹介論文が発表されるようになり,少しずつ治験例も発表されて,現在わが国では一つの有力な治療法として重要視されるにいたっている.
私達がこの二つの方法を知りえたのは,先行してこれらの方法を紹介し,実践し,普及してきた人々の力によるところが大きいが,この数年間,いわば正統な形で研修をうけた職員の手によって,この二つの方法が当園で混在しながら用いられている.今日包括的にこの両法から共通の原理を結論的に導き出すことは,少なくとも筆者の能力をこえる作業である.上田1)が自らの一連の論文で示しているように,全体として,中枢神経系ファシリテーション・テクニックの方法論,手技,その理論的基礎の統一という作業は,意識された努力の下で進められなくてはならぬが,それにはやはり多くの人々の経験の集積という“成熟”の過程が必要であるように思う.
筆者は本論文で“発達期”にある中枢神経系という面に視点をおいて,一応のまとめを試みた.推論,主観的な判断などが含まれるが,この点ご寛容を得たいと思う.
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