体験記
障害者一日体験記 2.脳卒中による片麻痺―学生実習から
秋山 純和
1
,
浅山 章
1
,
安宅 正司
1
,
石川 司
1
,
石黒 友康
1
,
伊藤 功
1
,
今村 田美子
1
,
岩崎 洋
1
,
宇賀 道子
1
1高知リハビリテーション学院
pp.389-391
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101481
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私たちリハビリテーション医学を学ぶ者にとって,リハをとらえる中で最も重要な事は「リハビリテーションとは障害を受けた者を彼のなしうる最大の身体的,精神的,社会的,職業的,経済的な能力を有するまでに回復させることである」と定義される様に,疾病によってひきおこされたいろいろな問題,例えばそれは身体機能の障害であるし,さらには経済的な,また社会的な問題でもあるが,それぞれが一つの独立した物でなく幾重にもかさなり関係している全体像としての障害者を見て行く事にあると思う.
と角私たちリハ学生は,学生と言う特別な立場にいるためか,疾病だけに目をうばわれてしまって障害をもつ人,いわゆる障害者を見おとしがちである.それは身体の不自由な人を生む直接の原因である疾病を知らなくてはならない,いわば学生の義務であり将来患者さんにリハビリテーションサービスを施す際に重要な事であるから,しかしそれだからと言って,本来のリハビリテーションの理念にかなったサービスが出来るであろうか.健康な者に不自由さがわかるであろうか.「いったい身体が不自由と言う事はどんな事なのだろうか」.この事を感じ,知るために私たちは一日障害者になってみようと言う事で興味ある体験をした.われわれ9人は「脳卒中による片マヒ」と言う想定で24時間をすごした.以下この体験を便宜的にADLによる生活区分別に,すなわち,起きあがり,衣服着脱,整容トイレ,食事,移動,入浴の各動作と,加えて社会の目,についてまとめたいと思う.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.