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講座
運動学シリーズⅤ 膝関節の運動学(1)
Kinegiology of Knee-Joint (Part 1)
山下 隆昭
1
Takaaki YAMASHITA
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.43-48
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101401
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膝関節は大腿骨骨関節と大腿骨膝蓋骨関節により構成される人体中最大の関節である.しかも,表面に近く存在し,長管骨である大腿骨と経骨の間にあるため最も障害を受けやすい.また,体重支持を必要とする下肢の中央部で,広範囲の可動性(mobility)と,高度な安定性(stability)の両面を要求される.人類は他の動物と異なって,完全な起立位が可能で膝関節伸展位にて体重支持を行うと言う特徴を有する.このため,その膝関節は独得の形態を呈している.大腿骨と脛骨の顆部は最大に発達して体重負荷面を増大し,その支持性に寄与している.大腿骨脛骨関節の関節面は,球形をした大腿骨内外顆と平担な脛骨関節面よりなり適合性はよくない.一方,上肢において膝関節と対比して与えられる肘関節に見られるような過伸展に対する骨性規制が存在しない.このため,これらを軟部組織によらなければならない.靭帯,半月,筋肉等の作用が重要視される所以である.
さらに,日本に於ける生活様式の特殊性を考えてみると,トイレ,風呂,畳上の動作などに代表される様に膝関節の最大屈曲を必要とする場面が非常に多い.また,歩行時に於いては,重心の移動を少なくし,toe-off後の下肢のswingに重要な役割を果している.ゆえに,本関節の機能障害は他の荷重関節の障害以上に,日本人のADLに与える影響は大であり重大な意味を持つことが明白である.
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