The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 10, Issue 10
(October 1976)
Japanese
English
講座
運動学シリーズⅣ 股関節の運動学(3)
The movement of the hip joint (part 3)
谷岡 淳
1
Jun TANIOKA
1
1自治医科大学リハビリテーションセンター
pp.789-793
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101325
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股関節伸展に参加する筋群
ハムストリングのうち大腿二頭筋の短頭を除くすべてが二関節筋である.したがって,それぞれの構成筋群が単独に収縮すれば,股,膝両関節に別個の作用を及ぼすことが当然可能となる.半腱様筋は膝屈曲と同時に股伸展をおこない,一般には股内転,内旋作用は無視されるが,膝屈曲位をとると強力な股内旋筋になる.半膜様筋は,半腱様筋とほぼ同じ作用を有する.大腿二頭筋長頭は,股伸展と膝屈曲の両作用があり,短頭と同時に収縮すると,膝屈曲位における強力な股外旋筋になると言われる.このことは臨床でも観察され,膝屈曲運動が自動的に困難な症例では,他動的に膝屈曲位をとらせても内外旋いずれか一方向に回旋し,中間位保持が出来ない場合が多い.しかし,解剖,生理学的に股関節に対するハムストリングの第一次作用を考えると,それは股関節伸展作用である.
われわれがMMTを実施する際にも,ハムストリングのこの作用を考慮して,股関節伸展筋力の評価をおこなっている.しかしながら,ハムストリングの股伸展作用をよりダイナミックにかつ客観的に調べた報告は少ない.MMT評価手順に見られるごとく,腹臥位における膝伸展位と屈曲位の股関節伸展力の差をもってハムストリングが関節伸展に及ぼす作用を評価するのが常である.
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