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講座
運動学シリーズⅣ 股関節の運動学(1)
The movement of the hip joint (part 1)
谷岡 淳
1
Jun TANIOKA
1
1自治医科大学リハビリテーション部
pp.457-461
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101240
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人間の股関節の機能は,大腿と躯幹の間に在って滑らかで,かつ統制された動きを行うことにある.この動きは,正常歩行の際リズミカルなマナーでおこり,身体をある場所から他の場所に効率よく移動させるために必要である.この統制された動きは,階段昇降や凹凸面を移動する時にも重要であるし,床から物を拾いあげる動作とか,靴下をはく動作,椅子や自動車のシートに腰掛ける動作のように,身体の形を変える必要のある動作ではかかせない運動である.日常生活面において,股関節が.このような機能を維持していれば,何ら障害は起らないが,股関節のささいな痛みから重度の障害まで様々なトラブルにさらされている1)6).
正常の股関節の運動には,いろいろの要素がからんでいるが,一般に運動(motion)は,関節の形態と関節周囲の軟部組織の柔軟性(flexibility)によって決定される9).そして,運動は関節にまたがる筋により調節されるので,必要な筋力とともに,神経系の調節に委ねられる関節のオリエンテーションも当然要求される.筋が収縮すると,莫大な量の力が発生し,この力は骨盤と大腿および関節面に作用する.そのために骨および関節面は,この力に反復的に耐えうる特性と能力を具備していなければならない.股関節の異常運動は骨折で見られるように,骨が力を伝達する能力を失した場合とか,関節面が作用力に耐えられない場合(関節炎)が代表とされる.
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