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Ⅰ.はじめに
脳性麻痺(cerebral palsy,CP)の理学療法では,最近は神経生理学的アプローチ(Neurophysiological approaches)が主流となっているが,それはNeurodevelopmental approach(Bobath),Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(Kabat),Sensorimotor approach(Rood)などを総称したものである.これらの方法はいずれも反射・反応・自発行動にみられる運動パターン―これは時間的な姿勢(姿勢は体位と構えに分けられるが,ここでは後者が中心となる)の連続的変化としてとらえられる―を指標として,その発達の順にしたがって診断・評価を行ない,治療手技を決定していく点で共通したものである.しかし運動パターンの変化をとらえる立場や,その理論的根拠の相違,また用いる手技の意味の違いから,それぞれ独自のものとなっている.Bobathは姿勢反射・自動的反応を,Kabatはトータルパターンを,Roodはmobility-stabilityをその中心にしているが,いずれも運動行動の一側面をとらえて理論化し,それに神経生理学的な説明を加えたものであり,具体的な手技には類似点が多い.CP児を前にしてどのアプローチを用いるかは治療者の立場によるが,Jacobsは「個人的にはどの方法もよいと思う.たとえばRoodの方法は患児が幼少で治療初期に用い,つづいて平衡・姿勢反応を利用したBobathの方法で行ない,患児が成長し機能も進歩すれば最後にKabatの方法を用いるであろう.たからすべての方法を用いることになる」としている.CPの理学療法を行なう上では,基本的にはこれら3方法について理論と手技を理解しておく必要があろうが,ここではその中心的位置にあるNeurodevelopmental approachの理解に必要な神経生理学をとりあげる.
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