Japanese
English
研究と報告
指椎間距離―肩関節可動域測定の一つとして
A distance between seventh cervical prominence and tip of thumb measured on the back
今井 至
1
,
佐々木 美代治
1
,
大河内 英子
1
,
稲川 勝義
1
,
武富 由雄
2
Itaru IMAI
1
,
Katsuyoshi INAGAWA
1
,
Yoshio TAKETOMI
2
1市立芦屋病院リハビリテーション科
2大阪大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.541-544
発行日 1976年7月15日
Published Date 1976/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101259
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1.はじめに
中年以後には退行性変化を基盤として発症する有痛性の肩関節制動という状態,いわゆる五十肩がよくみられる.五十肩では日常生活動作に有痛性を伴なう不自由な動きがみられる.特に手を背中に回すことが困難になってくる.たとえば帯・エプロンを結ぶ,シャツや着物の袖に手を通す,背中をタオルで洗う・掻く・ズボンのうしろポケットからのハンカチの出し入れ,トイレでちり紙を使う動作などを行なう時,肩部から上腕にかけて走るような痛みが伴なって動かし難い.五十肩の運動療法を行なうに際して,この手を腰部から上背部に回す動作の困難性の評価や訓練の効果を知る上で一つの方法として指椎間距離の測定が行なわれている1,2).
指椎間距離は母指を同側の腰部下方から回し,脊柱に沿わし,上方へ向かって第7頚椎棘突起から母指尖端の間を何cmまで上げ得るかを測定する.これに似た測定法として肩峰と母指尖端距離を測っているのがある3).また加齢などの要因が肩の可動域に対して,いかなる影響をもたらすかを3歳から9歳に至る男女約1,800人を選んで指椎間距離を含めた五つの肩の可動域の方法で統計上から調べている4).
われわれは青年,壮年,老年の幅で肩関節運動に愁訴をもたないものを対象に指椎間距離を測定し,肩の可動域(肩甲上腕関節,内旋過伸展運動)に対する加齢による変化の検討と考察を加えてみた.
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