Japanese
English
特集 ADL
精神薄弱のADL
ADL for mental reterd
飯田 雅子
1
Masako IIDA
1
1弘済学園
pp.203-209
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100989
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「精神薄弱」ということばからイメージされる姿は,どことなくだらしなく,ボサーとしたものであり,なにもできない気の毒な人たち,という感じで受けとめているものである.なぜだろう?と考えてみたとき,彼らの行動は自主性を欠き,臨機応変に事態に対処することが弱く,更にのろい,といったことがあがってくる.たしかに,このようになってしまっている精薄者は少なくないが,その理由の多くは,育て方の問題にあるようにも思うのである.
人間が生きていくうえでの,ADLの問題は,最も基木的なものである.健常な子どもの発達からみた時,5.6才から12.3才でこの領域は大体自立できるようになり,しかもこれらは自分でやるという前提で,1才辛頃から食べる時に,トイレにいくことに,服を脱ぎ着することにおいてみられだすのである.しかし,精神薄弱の場合は,服を着せてもらったり,顔を拭いてもらったり,食事を食べさせてもらったり,と家族の人たちにお世話をしてもらっている.家族の側は,たとえ,彼らがやろうという態度をのぞかせても,うまくできないことがわかっているので,やり方を教えようとするよりも,失敗されてあとしまつをするよりしてやった方が容易なために,つい手をかけてしまっているのである.この環境で育った彼らが,依存心が強く,自主性の弱い子になってしまうのは当然なことといってもよいだろう.ここに育て方の問題があるのである.
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