書評
井上正吾編集―精神科作業療法の理論と実際―現状と反省
平井 富雄
1
1東大分院神経科
pp.150
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100790
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精神科医療において,その医療給付が皆無であるのにもかかわらず,多くの病院でなんらかの「精神科作業療法」が行なわれ,その治療効果があげられていることは無視できない.本書はこのような視点からいうと,長年にわたって,三重県立高茶屋病院を主とし,この種の治療を病者のために行なっている各精神病院の医師,作業療法士(OT),精神科ケース・ワーカーの臨床経験の集大成ともいえるであろう.どのような患者がこの治療法を必要とし,またどのようなこの種の治療法が望ましいかなどは,それこそ試行錯誤的段階にいまだ低迷しつつあるのであるから,その理論と実際のギャップが,現場の臨床において,いかに努力され,工夫され,そして試行錯誤の過程のうちで望ましい「作業療法」とはどういうものであるか,という「現状と反省」が副題としてつけられている理由もわかる.
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