保健婦の眼
反省を……
淡島 みどり
pp.37
発行日 1954年4月10日
Published Date 1954/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200718
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保健所スズメの思い出話の会にこんな所が出てみな笑いこけたそうである.或るところで教育をうけたばかりの保健婦を採用し,結核の家庭訪問をさせたところ,例の流れ水で手を洗えということが頭にこびりついていたこの保健婦は,早速,やかん一ぱいの水と洗面器を家人にたのみ,とり出した新聞紙の上におもむろに訪問カバンをのせると手を洗つてみせ,そして1時間余りかかつて訪問調査票の事項についてききただし,患者さんにもあわずに引上げてしまつた.
ところがこの患者さんはラヂオや雜誌で保健婦の存在を知り自分の枕もとにも必ず保健婦がきてくれるものと期待して,一日千秋のおもいで来訪を待つていたのに,すつかり失望させられてしまつた.
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