メディカルプログレス
放射線による脊髄障害―Radiation myelopathy/Myasthenic Syndrome
上田 敏
1
,
荻島 秀男
2,3,4
1東大病院リハビリテーション部
2都養育院附属病院リハビリテーション部
3都老人総合研究所リハビリテーション医学部
4高知リハビリテーション学院
pp.137
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100784
- 有料閲覧
- 文献概要
以前は神経系は比較的放射線の影響を受けにくい組織であると考えられ,脳や脊髄に放射線照射をおこなうことにはあまりためらいはなかった.脳脊髄に腫瘍がある場合にはそれも当然であったが,脊髄に近接している組織,たとえば喉頭癌に対する放射線治療の場合にもそれが脊髄に対してどのような影響を与えるかについて殆ど考慮することなくおこなわれていた.
ところが1941年Ahlbomの最初の報告例,1945年Stevensonらの最初の剖検例の報告例などで,すでにかなり以前から,放射線による脊髄障害が時として非常に大きな問題になりうることが一部では気付かれていた.特に最近ますます高エネルギーの放射線療法が広く行なわれるようになって,脊髄障害の合併例が次第に多くなる傾向にあり,大きな実際的な問題となりつつある.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.