とびら
用語雑感
横山 巌
1
1七沢病院院長
pp.89-90
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100774
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リハビリテーション医学用語集がこのほど学会誌リハビリテーション医学に発表される運びとなったので,この仕事にたずさわってきた者の一人として,用語について2,3感じたことを述べさせていただきます.
用語は生きものであり,それ自身が生命をもっているように思われます.かって戦時中に,英語は敵性語であるというので,野球でストライク・ボール・セーフ・アウトなどの英語を一切使わずに日本語を使うように強制されたことがありましたが,野球が大変つまらなくなってしまったものでした.そして終戦と共にストライク・ボールは直ちに復活し,今では代りに使われた日本語が何であったかも思い出せない有様です.言葉はこのように押しつけられても,必ずしも使われるようにはならず,無理におさえられてもその生命が絶たれないという場合がいくらもあります.リハ医学用語集はそのような点をふまえて,現在使われている用語の整理統一という点に主眼がおかれたのですが,皆様も御承知のように,現在では日常の臨床に英語がなまの形で用いられている場合が非常に多いので,そのような語の中で適切な訳と思われるものがいくつか採用されました.しかしこれらの用語が生き残るか否かは,それらの用語の生命力の強さ,つまり使用する人々にアッピールするものをどの程度もっているかにかかっていると思います.
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