扉
雑感
髙木 康志
1
1徳島大学脳神経外科
pp.705-706
発行日 2019年7月10日
Published Date 2019/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204013
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京都から徳島に来て1年半が過ぎ,教授室から見える徳島のシンボルである眉山の美しい風景も,自然なものとしてすっかりなじんだものとなりました.眉山は桜の季節が過ぎ,今は新緑が青い空に映えています.私にとって非常に光栄な「扉」の執筆ですが,人生の教訓になる原稿は他の先生方にお任せし,日々の思いを綴ってみたいと思います.
世の中では,成果主義で自己アピールの重要性が問われ,「夢」は必ず叶うとのキャンペーンが繰り広げられています.そもそも,日本人は自分の成果を誇ることは恥ずかしいことと考えてきたかと思います.古典を読んでも「驕る平家は久しからず」で,慎ましく身の丈に合った暮らしを良しとする世の中であったように思います.最近の“TED”のまねをして,身振り手振りでプレゼンをしている社長さんを見ても,海外のリーダーのように様になっているのはほんの一部の人かと思います.海外留学中に,研究室のボスから最も評価されていた日本人の気質は,「他人の考えがわかること」と「黙って成果を出すこと」でした.カンファレンスではいつも静かでも,新しいデータはきっちり出してくるのが,海外の研究室が日本人を雇いたがっていた理由かと思っています.自己アピールも,成果に基づくものであるならまだしも,最近はアピールのみが上手な方々が増え,しっかりとした人物評価をしないと,騙されることもあるかと思います.
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