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はじめに
血友病は血液の凝固に問題のある病気で,身体的,心理的な面に複雑な影響を与える.一般的に最も多い型はファクターⅧの欠陥で80%を示す(hemophilia A,classic hemophilia).第2に多い型はファクターⅨ欠陥で20%を示している(hemophilia B,Christmas disease).両者とも先天的,遺伝的,そして伴性遺伝(sex linked)の原因によっている.
この病気は一生涯継続し,経過は非常に不安定で予期なく出血が起こる.身体のどの部分にも出血は起こるが,特に関節とか四肢への出血が多い,そのため,血友病患者の入院回数も多いし,学校または仕事を休むことも多く心理的,経済的問題も出てくる.
過去における治療目標は患者の生命維持が主であり,血友病抵抗血漿(antihemophilic plasma)とか血液を主に使用していた.血友病抵抗血漿が質的,量的に進歩した最近では生命維持だけではなく,リハビリテーションの面も考慮されるようになってきた.
著者が一時勤務したロスアンジェルスの整形外科病院(Los Angeles Orthopaedic Hospital)は米国でも数少ない血友病センターの1つになっており,患者のリハビリテーション活動を活発に行なっている.このセンターで血友病患者のリハビリテーションにあたるチームの内容は小児科医,内科医,整形外科医,歯科医,血液学専門医,精神科専門のソーシャルワーカー,職業相談員,公衆衛生看護婦(夫),Ⅳ看護婦(夫),OTそしてPTとなっている.その中でこの小論文においては血友病患者のリハビリテーションチームの一担となって活躍しているPTに関してのみ記述することにした.
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