病気のはなし
血友病
小林 紀夫
1
1群馬大学第三内科
pp.6-12
発行日 1982年1月1日
Published Date 1982/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202416
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血友病は女性保因者を介して男性に発症する,すなわち伴性劣性遺伝性出血傾向である.関節腔、筋肉内,その他諸臓器などに出血を繰り返し,ついには肢体の機能障害をもたらす疾患である.本病の記載は古く,先天性の出血性素因を代表する病名とみなされたが,20世紀に入ってから伴性劣性遺伝を示す疾患に限定された.1950年代に入り,各種凝固検査法が開発され,血友病に2種類あることが判明し,血友病A及び血友病Bと名付けられた.前者が第Ⅷ因子の,後者が第IX因子の欠乏症である.その後次々に出血傾向を伴う新しい凝固因子の欠乏症が発見され,血友病類縁疾患として取り扱われている.これらのうち,第XI因子欠乏症は血友病Cと呼ばれることもあるが,通常血友病といえば血友病AとBを意味する.
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