特集 脳卒中のリハビリテーション
Ⅲ 障害学
脳卒中による言語障害
船山 美奈子
1
1国立聴力言語障害センター付属専門職員養成所
pp.442-446
発行日 1971年11月9日
Published Date 1971/11/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100501
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はじめに
脳卒中の一症状として,言語障害が高頻度にみられる.リハビリテーション病院などでも,急性期を過ぎた脳卒中患者の約20%に,なんらかのコミュニケーション障害が認められる.ろれつがまわらないとか,しゃべりにくいという軽度の訴えを入れれば,更に頻度は高い.
脳卒中は,突然おそってくることが多い.一夜にしてからだもきかず,ことばも通じなくなった患者は,いったい自分に何が起こったのか,この後どうなっていくのかを知る手だてさえも,言語の障害によって奪われてしまう.回復への励ましも,治療・訓練それ自体も,ことばを媒介にして最も効果的に行なわれることを思えば,言語障害のもたらす問題の大きさが,あらたあて痛感される.
日々患者に接する立場から,患者のコミュニケーション能力を,よりよく理解し,これの改善をはかるには,どうしたらよいかを念頭において,脳卒中の言語障害のあらましを述べる.
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