スピーチリハビリテーション講座・5
言語発達のおくれ
神山 五郎
1,2
,
船山 美奈子
2
1厚生省
2国立聴力言語障害センター言語課
pp.70-73
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913879
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言語発達とそのおくれ
物には順序がある。とすれば,言語の発達にも順序があるか? その通り。順序があれば,その順序の基準より「はやいグループ」と「おそいグループ」ができてしまう。一般に基準とされるのは,言語発達の普通の子どもの値,すなわち統計的な平均値である。
しかし,平均値といってばかにしてはいけない。この平均値より一月でも一日でもはやく進んだ子の親はよろこび,その逆の親は悲しむ。そこにはバラツキ──それは統計学の初歩の初歩で学ぶ──という観念が全くない。私どもはよく,「○歳×月で△音がいえないが,それは遅れであるか?」という質問を素人のかたからうける。その時に余りはっきりとした返事をしないことにしている。それは相手にバラツキという観念が,多くの場合ないからである。
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