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特集 小児のリハビリテーション
脳性小児麻痺の装具
The brace for cerebral infantile paralysis
大井 淑雄
1
Yoshio OOI
1
1東京女子医大整形外科
pp.163-168
発行日 1970年6月9日
Published Date 1970/6/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100319
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はじめに
脳性小児麻痺は脳の運動制御中枢が冒されることによって起こる永続的な運動異常の症状が特徴である.したがって,この定義によれば,現在活動期の疾病は,たとえば脳腫瘍とか,活動期の脳炎,そして筋ジフトロフィ病などはこの範疇にはいらない.また精神発育のみの遅れているこどもも含まれない.
脳性小児麻痺にかかった大多数のこどもは装具を必要とし,また松葉杖・車椅子なども歩行や日常生活動作(Activity of Daily Living)のために必要とする.しかし適切な装具が必要なのであって,装具をつけすぎるというようなことは不適切な装具着用と同じく,なんら益にならないものである.長年にわたる訓練の末に,患児のある者はこれらの補装具がなくてもじゅうぶん機能しうるようになるが,大多数の者はこれら補装具の1つ2つは一生欠かすことができないのである.
脳性小児麻痺患者の治療に責任をもつ医師はしたがって適切な装具・松葉杖,そして車椅子を必要に応じて処方すべきであり,そしてまたこのような補装具をいつ変更するか,いつはずすかというような点に関心をもつべきである.脳性小児麻痺患者はPhelpsの分類における痙直型(Spastic Type)が最も多くまた装具着用の点にも最も関係があるので以下これをおもに述べる.
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