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特集 脳卒中
片麻痺患者に対する運動療法の実際
Physical therapy for hemiplegia
松沢 博
1
Hiroshi MATSUZAWA
1
1神奈川県老人福祉事業団七沢病院
pp.227,255-258
発行日 1970年8月9日
Published Date 1970/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100345
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はじめに
脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションにおける,運動療法については,大きく次の3つに分けて考えることができる.1)
(1)他動運動→介助自動運動→自動運動
(2)介助起座→座位平衡→起立→立位平衡→歩行(平行棒内歩行→杖歩行→独歩)→階段昇降など応用歩行動作
(3)床上運動→起座→立位
これは,発作直後からの運動療法の進め方であるが,実際に接する患者の多くは,発病当初からの適切な理学療法や,作業療法などを受ける機会に恵まれず,継発症を伴っている場合が多い.当院に入院した100名の片麻痺患者について,PTでの入院時評価の結果と,理学療法処方箋を整理してみると,既に健側の筋力低下がみられ,それに対し筋力強化訓練を必要とする者,あるいは,患側足関節に背屈制限を持ち,それに対する伸長(Stretching)を必要とする者,あるいはまた,発病以来4か月を経て,なお独力で立位保持が不可能な者は,それぞれ全体の約1/3の患者にみられる.
片麻痺の運動療法については既に,いくつかの成書2,3)に述べられており,また,本誌に特集あるいは連載をみた,脳卒中のリハビリテーション4),ファシリテーションテクニック5)の中でも述べられているので,その詳細については省略し,ここでは,今までに経験したいくつかの治療上の問題点について述べてみたい・
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