目でみる耳鼻咽喉科
舌結核症
西嶌 渡
1
,
竹生田 勝次
1
,
寺邑 公子
1
,
北野 元生
2
,
土屋 真一
2
,
西島 昭吾
3
1埼玉県立がんセンター耳鼻咽喉科
2埼玉県立がんセンター病理部
3大宮医師会市民病院
pp.1000-1001
発行日 1983年12月20日
Published Date 1983/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209705
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開放性肺結核症より接触性に発生したと考えられる結核性舌潰瘍の1例を供覧する。昭和10年より昭和25年まで死因の第1位を占めていた結核による死亡数は,急速に減少し,昭和56年には,第15位(死亡実数5,693人,死亡率4.9人対人口10万人)にまで低下している1)。結核患者における舌結核症の発生は少なく,結核患者の0.08〜0.97%に,特に開放性患者においては0.02〜1.9%の頻度に認められる2)。40歳以上の男性に多く,ほとんど続発性である2).その感染経路として,血行性,リンパ行性,接触性の3つの場合が考えられる本症例では,Gaffky 2号の開放性肺結核患者であることから,義歯による損傷からの接触性感染と考えられる。舌結核の特徴として,成書では激痛を掲げているが3),本症例では.食事の時に生じる「しみる感じ」以外は,ほとんど自覚症状はない。
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