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I.はじめに
上咽頭癌(NPC)の治療は他の頭頸部癌の治療と比較し,その予後は一般に悪いとされている1)。これは,早期発見が困難なこと,また早期に頸部リンパ節に転移をきたしやすい事など。解剖学的な特殊性に由来しているところが多い。このことからNPCの治療において,手術が治療の主体となることは少なく,現在放射線と化学療法が治療の主流をなしているように思われる。またNPCの病理組織学的特徴の一つに,放射線感受性の高い未分化型腫瘍が多いことも,放射線療法が支持される理由であろう。
私達の教室でも上咽頭癌の治療は,XEとして放射線治療を軸とした化学療法との併用を行っている。最近では,原発巣や転移リンパ節はもとより,触診上,明らかなリンパ節腫脹を認めない場合でも,頸部に対しては予防的照射と称して放射線を照射することが多くなった。このように放射線治療が評価され治療の機会が多くなるにつれてその反面,副作用の発生する危険性も多くなり,放射線後遺症で悩む患者の発生頻度や程度も強くなることをよく認識しておかねばならない。
Irradiation remains the mainstay of treatment of nasopharyngeal carcinoma in the primary site and the neck.
We studied the long-term effects of irradiation in five patients who have survived ten or more years after treatment without recurrence of disease, and we were impressed by the rarity of disabling complications of the treatment.
Minor complications were common, and especially troublesome were xerostomia, dental caries, postnasal crusting and neck weakness.
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