症例
転移性卵巣癌の長期生存例について
佐藤 宏樹
1
,
吉川 研
1
,
平賀 光子
1
,
山中 祥子
1
,
山中 昭二
1
,
竹内 久清
1
,
大塚 博光
1
,
林 知彦
1
,
雨宮 章
1
,
浜田 宏
1
Hiroki Sato
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室
pp.353-356
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207595
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Krukenberg腫瘍は,転移性卵巣腫瘍のひとつで,極めて予後の悪い疾患とされているが,今回当院で5年以上生存している症例を経験した。症例は腹水と診断されて当院へ紹介,入院となった。手術時,腹水は黄色,漿液性で6000ml,両側卵巣は手拳大に腫大し,表面は凹凸不整,充実性で硬く,癒着,転移所見は認められなかった。腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術を施行した。
卵巣の病理組織学的所見がKrukenberg腫瘍であったため,消化器系の検索を行ったが異常は発見されず,さらに検索を行い左乳房に2cm×2cmの腫瘍を発見し,バイオプシーで腺癌が確認された。婦人科手術の4週間後,外科にて定型的乳房切除術施行,さらにFAMT療法後,経過順調にて現在外来経過観察中である。本邦では昭和49年日産婦卵巣腫瘍委員会報告では,転移性卵巣癌の5年生存率は191例中2例(1.5%)と極端に低い。本症例の長期生存の要因について考察した。
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