Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
上気道感染症におけるウイルス性疾患の占める重要性はいうまでもないが,起因ウイルスに対する同定検査の難しさ,続発する2次感染の顕性化により,臨床的にはそれほど重要視されていないのが現況であろう。しかし,近年,ウイルス学,免疫学の目ざましい発達によつて,ウイルス感染によつて引きおこされる生体の反応が明らかになつてきている。その1つは,主としてウイルスによつて誘導される抗ウイルス性物質,インターフェロン(以下IFと略)の働きであり,もう1つは,侵入したウイルスに対する抗体産生,ウイルス感染によつて変性した細胞に対する細胞障害性免疫を始めとする免疫応答系の関与である。すなわち,ウイルス感染によつてIFを中心とするnonspecific immunityとspecifically acquired immunityが誘導され,生体防御上重要な役割を果たしている。一方IFは抗ウイルス性以外にも多彩な生物学的活性をもち,免疫応答に影響を及ぼすことが知られている。ここでは,IF本来の抗ウイルス性を実証し,併せて幾つかの免疫応答に及ぼすIFの作用を観察し,上気道生体防禦におけるIFの役割を論じる。
Cooperation of non-specific acquired immunity plays an important role against infection of the upper respiratory tracts. Especially in viral infection, interferon (IF) seems to be a main factor as a local defence mechanism.
In this paper, the production of IF in influenza infection in vivo, the antiviral effect of IF in vitro using organ culture system and the effect of IF on cellular and humoral immunity in vitro were reported.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.