Japanese
English
綜説
感染と生体防御機構
Host-Defense Mechanism Against Infection
野本 亀久雄
1
Kikuo Nomoto
1
1九州大学生体防御医学研究所免疫学部門
1Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University
pp.499-510
発行日 1984年6月20日
Published Date 1984/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203825
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I.微生物の排除に働く防御因子
1.感染防御に働く機序や因子の多様性
単細胞動物であるアメーバには異物をとり込み消化する機能が備わつており,多細胞動物へと進化した後にもアメーバに相当するような性格をもつマクロファージ様細胞が異物あるいは異物的自己成分の処理の軸となつている。動物の進化に伴いさまざまな機序が生体防御機構に加えられ,ついには進化の極致ともいえるクローン的な免疫系が出現してきた。その進化の過程において,多くの動物に共通してあらわれ,さらに進化した動物にも備わつている機序と,特定の生活条件によつてその種にのみ出現した袋小路的な機序が加えられてきた。また,身体の構造が複雑化するにつれて,各組織,臓器によつて外界との接点が異なるようになり,それぞれの場において固有の防御機序も備わつてきた。このような多彩な機序のうち,種をこえて備わり,生体の各組織に比較的共通して機能を発揮するような基本的防御因子をとりあげて生体防御の流れを把握してみたい。
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