今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス
慢性B型肝炎の治療
インターフェロンおよびインターフェロン誘起剤
海老名 卓三郎
1
Takusaburo EBINA
1
1東北大学医学部・細菌学講座
pp.1550-1553
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217323
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
インターフェロンとは1)
抗ウイルス剤ならびに抗腫瘍剤として注目をあびるようになったインターフェロン(IFN)は次のような性質を持っている.①分子量15,000から60,000の糖蛋白である.②抗体とは異なり,直接ウイルス粒子を不活化するのではなく,前もってIFNを細胞に処理しておくと,その細胞でのウイルスの増殖を抑える作用を持っている.③抗体と異なり,ウイルス特異性がなく,種類の異なったウイルスに対して広く増殖を抑える.④一方IFNは種特異性があり、ヒトのIFNを作るにはヒトの細胞を使わなければならず,これまで制約を受けていたが,最近ヒトの細胞を大量に培養する技術が工業化され,IFNの大量生産ならびに臨床応用が可能となった.さらに最近遺伝子工学による大量産生が試みられている.
最初抗ウィルス作用により発見されたIFNがその後種々の生物活性を持っていることが次々報告され,生体内における微調整物質の感がある.その中でも細胞増殖抑制作用,抗腫瘍性マクロファージの誘導能やナチュラル・キラー(naturalkiller, NK)細胞活性増強能が知られ,抗腫瘍効果も期待されよるうになった.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.