特集 耳鼻咽喉科診療の経験と批判
小児副鼻腔炎
名越 好古
1
1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.761-764
発行日 1970年10月20日
Published Date 1970/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207531
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小児期の副鼻腔炎については急性あるいは合併症の併発した重症なものについては多くの記載があるが,鼻漏,鼻閉を主とするような慢性的なものに対してはその病態や治療について詳しく記載されたものはほとんどなかつた。実地臨床家は本症に多くの関心をもちながら,はなはだ取り扱いのやつかいな疾患として困つていた。そのことは昭和12年(1937年)の耳鼻臨床32巻225頁に掲載されている「小児慢性副鼻腔炎に対する処置如何」というアンケートによく表われている。米国では早くからこの問題に関心が払われ1920年代から多くの業績が発表されてきた。わが国では昭和26〜27年頃から昭和40年頃までがもつとも盛んに研究された時代である。なかでも信州大学の鈴木篤郎教授一門の研究は膨大なものであるが昭和38年東北医学誌67巻(立木教授退官記念号)に鈴木教授が纒めて発表し結語として次の24項をあげている。すなわち,(1)本疾患はおそらく,3,4歳の頃から小学時代の前半においてもつとも多く初発し,それ以後とくに思春期以後においては自然治癒を営む方が初発する数を上廻り,発生頻度は減少してくる。
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