特集 小児耳鼻咽喉科疾患
副鼻腔疾患
名越 好古
1
1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.741-750
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207836
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小児期の副鼻腔疾患としては鼻漏,鼻閉を主症状とする亜急性あるいは慢性の副鼻腔炎と,眼窠合併症を伴つた急性副鼻腔炎とに大別することができる。前者は非常に罹患率が高く,病態も複雑で臨床上問題が多い。後者は初生児上顎洞炎あるいは年少児の眼窠合併症として眼球突出,眼瞼,頬部腫脹などの症状を呈する重症疾患として知られているところであるが,感染症の治療の進歩で問題は少なくなつている。
ここでは前者の亜急性あるいは慢性の副鼻腔炎について述べる。小児期には異常体質と称していろいろな問題を提供している体質がある。またウイルス性疾患として,はしか,インフルエンザなど強い上気道炎をしばしば経過する。その他アデノイド,習慣性アンギーナなども小児期特有のものである。これらはいずれも気道症状を呈するもので,副鼻腔炎とは深い関係がある。本症が鼻漏,鼻閉というありふれた症状が主なもので,患児自身が苦痛を訴えることも少ない疾患であるので,その病態をどのように理解するかというのが問題である。以下この病態についていろいろな角度から検討を加えながら治療問題を考えてみたいと思う。
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