特集 耳鼻咽喉科診療の経験と批判
鼻副鼻腔アレルギー
奥田 稔
1
1和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.765-769
発行日 1970年10月20日
Published Date 1970/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207532
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Ⅰ.まえがき
古いノートを繰つてみると私が鼻のアレルギーの仕事に手をつけ始めたのは昭和29年であつた。その目標は慢性副鼻腔炎の治療とアレルギーの関係であつたが,臨床的なアレルギー診断法の手がかりが得られぬまま,卵白その他による実験的アレルギー性鼻副鼻腔炎の研究に従事していた。昭和36年海外出張の機会に恵まれカナダで実際に花粉症の患者に接し,ウィーンで実際の鼻アレルギーの鼻粘膜の組織標本をみるに及び,鼻アレルギーの扱いに,ある整理ができるようになつた。昭和38年帰国後,北村教授の教室で花粉症の患者に恵まれ,同じ道を志す教室員の助けを得て,自分流の鼻アレルギー診療の輪廓ができたのが,ほんの数年前であつた。このような短い経験からではあるが,以下,いくつかの思うところを綴りたい。
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