Japanese
English
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上気道炎に続発したと考えられるムコール菌症の1例
MUCORMYCOSIS
佐々木 治夫
1,2
,
福山 和彦
1,2
,
大島 紀玖夫
3
,
乾 達
3
,
山下 隆造
4
Haruo Sasaki
1,2
1佐久総合病院耳鼻咽喉科
2信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
3佐久総合病院内科
4佐久総合病院病理
pp.43-47
発行日 1970年1月20日
Published Date 1970/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207408
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I.はじめに
真菌症は近年増加しつつあるといわれるが,ムコール菌症はなおかなり稀な疾患である。今までの報告は150例余,本邦においては20例内外であるという1)。ムコール菌は広く自然界に存在する藻菌類に属するものであるが,ひとたび個体に感染し,発症するとその症状は激烈で大部分のものが急速に死の転機をとる。この点が他の真菌症と違い,特異的である。しかも鼻腔,副鼻腔,口蓋,眼などに症状を有するものが40%近くもあり2),耳鼻咽喉科領域においても注目せねばならない疾患である。
私どもは呼吸困難を主訴として来院し,全身のリンパ腺腫脹をみた症例が剖検の結果,ムコール菌症であることが判明したので報告する。なお,本症例の概要については日耳鼻信州地方会第51回例会において述べた3)。
The authors report a case of mucormycosis of the upper respiratory tract. A woman, aged 73, appeared to be highly debilitated with enlarged lymph glands in various parts of the body. The original focus of infection appeared to be the tonsillar involvement.
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