医師の眼・患者の眼
「ムコール菌症始末記」
松岡 健平
1
1済生会中央病院内科
pp.1539-1541
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208079
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外車セールスマン木俣氏の現病歴
外車セールスマンの木俣氏は岡山県のある素封家から下取りのLincoln Continentalを駆って帰路についた.彼が大学を卒業して以来6年,同郷のよしみでひいきにしてくれている,東京に本社を持つ青年実業家の車であった.たいへんな上客で一銭も値切ることなく,岡山の実家でも帰りぎわに赤飯の弁当をご祝儀とともに持たせてくれたのであった.
7月も終わりの酷暑の2号線を神戸に向かって走り始めた.木俣氏はやたらと喉の渇きを覚え,自動販売器でコーラやジュースを買っては飲んだ.夕食用の赤飯の弁当もまたお三時として食べてしまった.
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