検査法の基礎
常在菌と病原菌—[1]上気道
松本 哲哉
1
,
山口 惠三
1
1長崎大学医学部臨床検査医学講座
pp.325-329
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900089
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サマリー
上気道は呼吸によって外界と接する部位であり,呼吸器系における最初の感染防御の場でもある.上気道炎は健常人でも年に数回は罹患するありふれた疾患であるにもかかわらず,詳しい解明はまだ十分にはなされていないが,その起因病原体の90%以上はウイルスとされている.細菌感染としては,特に小児科領域において,糸球体腎炎などの続発症との関連からStreptococcus pyogenesが重視され,その迅速診断キットも市販されている.上気道には常在菌叢が存在するので,病原菌を決定することは必ずしも容易ではなく,菌側および患者側の因子を十分に考慮したうえで総合的に判断されなければならない.
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