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Ⅰ.緒言
悪性腫瘍の治療効果を高めるためには早期発見が大切であることは今更いうまでもない。耳鼻咽喉科領域における上顎癌ももちろんこの範疇に入る。ただ本症はその診断については末期的段階ではきわめて容易であるが,早期発見はきわめて困難である。それは多くは癌自身が副鼻腔内に潜在し,いわゆるsilentな状態が比較的長くつづくためである。この潜伏期における診断方法としては一般にはX線的検査が応用されるが,必要によつてはいわゆるCaldwell-Lucの術式に準じた試験的開洞などが用いられる。
ついては最近著者は,これら諸種の方法により初めて十分に上顎癌を除外し得た,いわゆる癌年齢者にみられた特殊の病像を示した副鼻腔炎6症例を経験したので,そのことを報告するとともに,その間に行なわれた教室独特の試験切片採取法の紹介も行なつてなたい。
The author reports 6 cases of nasal trouble in whom there was in each a slight suspicion of maxillary cancer. However, on further investigation these cases turned out to be affected by inflammatory and cystic affections.
The author emphasizes the essential points in the differential diagnosis of maxillary cancer in which biopsy specimen acquired from the lateral wall of the inferior meatus and the maxillary sinus are indispensable.
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