特集 最近の薬物療法と問題点
止血剤の作用と使用経験
福武 勝博
1
,
橋本 裕
1
,
安井 武義
1
,
堀田 義弘
1
1東京医科大学臨床病理学教室
pp.797-804
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204013
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非常に多種類の止血剤が臨床に用いられていることは衆知のことであるが,それらが止血という同一目的で使用されていても,それぞれが異なつた作用機序を持つていることに留意して使用されているかという点では疑問があるのではなかろうか。ただ何となく数種の止血剤を使用しているというのが存外多いのではないだろうか。多くの場合,止血剤を投与することによりただちに出血が止まるというほどその効果が歴然としたものではないだけに,止血剤をそれほど厳密に考えないということになるかもしれない。出血の原因を考え,その原因を除去する作用を持つた止血剤を使うということは,さらに起こるかもしれない大量出血を予防するという点で重要な意味を持っており,また万一血友病その他の特殊な出血性疾患に対処した場合には適切な止血剤を選択すること自体が重要な処置となつてくる。そこで本文では止血剤について述べる前に出血という現象について考え,それぞれの止血機構に関連のある止血剤を結びつけて述べることにする。
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