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I.はじめに
鼓室成形術の不成功というのは術後耳漏のあるもの,耳漏再現の場合,聴力悪化あるいは聴力改善されない場合をいうのである。しかしてかかる不成功の原因として挙げられるのは患者側にあるもの,医師側にあるものおよび疾患そのものにあるものがあり,これを具体的に要約すると次のようである。
1.適応の問題
2.中耳内病変の問題
3.病変処理
4.手術手技
5.続発症,合併症
6.後療法
7.再感染
8.2次的変化
9.体質および局所素質
しかして今回ここに取上げようとしたのは従来ほとんど顧みられなかつた粘膜病変の内,上皮の状態が鼓室成形術を不成功に導く因子としてどの程度の役割をしているものであるかを知るとともに,上皮がどのような状態ではどのような手術結果となるのであるか,中耳のどの部位かによつて上皮の状態の影響するところが異ならないか,異なるとするならばどのような差異があるか,同じ上皮の状態でもその拡りの差異によつて影響するところが異なるのではないかなどを検討し,もつてこの方面からして鼓室成形術を不成功に導いていた因子を分析し,これら因子を除くにはどのようにしたならばよいかについて考察し,鼓室成形術の成績をさらに向上せしめる一助にせんとする。
In order to isolate the factors under which operative failures may occur in tympanoplasty, Goto, initially, gave attention to the pathological changes found in the middle ear mucous membrane and secondly, to what effect these changes may influence the progress of wound-healing in tympanoplasty.
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