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I.はじめに
鼓室成形術を成功さすためには色々の角度から検討しなければならない。しかも鼓室成形術の成功とは慢性中耳炎を主とした対象としているわが国においては,術後の聴力回復のみでなく,耳漏の消失もまた同程度に重要な課題である。したがつて鼓室成形術の成功を検討するためにもこの両面から論じなければならない。しかしそのために不成功に終つた症例についての検討,特に再手術による病変を追及し,これからして不成功の理由を推論しているのが現状である。しかしながら再手術時の所見は残つた病変であるのか,術後に起こつた病変であるか,残存病変に術後の病変が加わつたものであるのかは解らない。したがつて再手術所見からして不成功の原因を確実に知ることは出来ない。ここにおいて手術時に採取した粘膜を組織的に検索し,その所見からして術後の治癒傾向の可能性を推察すると共に,臨床成績との対比を行なうという検討方法によつて本問題解決の一端としようとした。
Tissue studies conducted on the middle ear mucous membrane, removed at the time of tympanoplasty, revealed in some few cases middle ear tuberculosis and allergic involvements. Wound recovery in both of these involvements was exceedingly difficult. The healing was also delayed in cases that showed atrophic connective tissue changes. In face of these results the authors emphasize the need of careful microscopic studies on the middle ear mucous membrane removed at the time of operation.
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