特集 鼓室形成術
鼓室成形術の発展の歴史
後藤 修二
1
1名古屋大学医学部耳鼻咽喉科
pp.816-822
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202922
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鼓室成形術という名称はWullsteinがDierestaurierende Operation im Mittelohrに命名したものであり,ZöllnerはSchalleitungs-plastilkという。何れにしても病変によつて破壊された中耳伝音系を再建せんとする手術である。換言すれば中耳病変によつて低下した聴力を伝音系を再建することによつて回復せしめんとするのである。
従つてこの方法の発展の歴史を展望するためには,慢性中耳炎及びその残遺症の治療において聴力への努力が如何に払われて来たかを知る必要があり,どの様な研究の成果によつて本手術法が発展して来たか,手術手技の発展がどの様に進められたかを記さなければならない。即ち突如としてかかる手術法が生れて来たものではなく,臨床的ならびに実験的研究の積み重ねの上に,抗生物質,化学療法などの発達に助けられて発展して来たものである。
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