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皮膚科領域に於ける抗プラスミン剤(イプシロン)の効果
高橋 康一
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1国立札幌病院皮膚泌尿器科
pp.413-416
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201712
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ヒスタミン様物質の増加が炎症性皮膚疾患に重要な役割を演ずることは云うまでもないが最近このヒスタミン様物質が血液中にある蛋白分解酵素Plasminの活性化によることが明かにされてきている。線維素溶解現象は古くからGreen (1887),Dastre (1894)等により知られているが,その本態は不明であつた。ところがRosemann,McFarlane等により本現象は血液中のPlasmin,又はFibrinolysinと名づけられた線維素溶解酵素によることが明かにされ,この酵素は外科的手術患者,火傷,月経時,妊娠悪阻,妊娠中毒症,レントゲン宿酔等の際に著明にみられることが判明した。この様な場合にPlasminの活性化がおこることが想像される。しかしてPlasminの活性化は,その拮抗物質であるAntiplasminとの平衡状態がやぶれる場合に生ずると推測され,従つてPlasmin活性化抑制は,之等疾病の予防,治療に役立つと老えられる。
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