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診療室
妊娠悪阻に対する抗プラスミン剤(イプシロン)の使用経験
Experience in antiplasmin drug "Ipsiron"in hyperemesis gravidarum
城 登
1
,
吉川 正治
1
SHIRO NOBORU
1
1大阪市立大学医学部産婦人科学教室
pp.200-204
発行日 1957年3月10日
Published Date 1957/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201525
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緒言
血液を体外に採り出した場合,凝固するが一旦凝固した血液は,ある種の条件の下では,再び無菌的に溶解する現象も見られる。斯かる現象は相当古くから気付かれていて,Zimmerman (1846),Green (1887),Daster (1894),Rulat (1904),Nolf (1905),Morawitz (1906),等により報告されているが,近年に至りこの臨床的意義が研究されるようになり,斯かる現象の本態の一部は,血漿中にある蛋白分解酵素plasminが,ある場合に急激に活性化されて,このplasminと拮抗作用を有するAntiplasminとの間の動的平衡が破れ,一旦凝固したものが再び溶解するという現象即ち,線維素溶解現象乃至は血漿蛋白の溶解の起る現象に外ならないと,Macfarlane, Zoomis等により説明されるに至つた。更にこの線維素溶解現象は,外傷時,Shock状態,手術後,月経中の血液,高血圧症,月経困難症,妊娠中毒症例えば子癇や妊娠悪阻時等にも起ることが,Yudin,Maefarlane, Imperati, Kaulla, Mole, Wexlerand Ellis, Smith and Smith, wilson andMunel, Tagnon等により次々と発表された。
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