聴覚検査法の意義に関する1考察

DISCUSSIONS ON THE SIGNIFICANCE OF AUDITORY TESTS

　Ⅰ．緒言

　近年，各種聴覚検査法の進歩に伴い，聴覚伝導路における障害がある程度細別診断されるようになつた。とくに中枢性難聴の鑑別診断法には著しい発達が見られる。しかしながらそれらの臨床的応用には各検査法の意義および根拠が明らかにされる必要がある。

　さて，各種検査法の組合わせによつて聴覚路のどの部位の障害が分かるかについては別の機会に譲るとして，本論文ではそれらの検査成績を解釈する際に常に念頭に置かねばならないといつた事実を考察する。すなわち，著者の考える観点から聴覚障害の概念を明らかにしてみたい。

The author divided the auditory system into two processes composed of analysor on one hand and of integrator on the other.

The functional character and significance of these two were considered. The data of auditory tests which are now being used are discussed from the viewpoint of these two different auditory mechanisms.