新しい検査法
CRP検査法とその意義
木村 一郎
1
1東京大学医学部血清学教室
pp.309
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905701
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身体の一部分に炎症や組織の退行性変化があると,その患者血清中に肺炎双球菌のC—多糖体と反応する特殊なタンパク質があらわれ,これはC反応性タンパク(CRP)とよばれている。このCRPは発病と殆んど同時に血清中に出現し,疾病の経過にほぼ平行して消長する。しかも疾病の回復とともにすみやかに消失するので,これを血清の中から証明することによつてその患者のどこかの組織に病変があることを推定できる。さらに,その消長は疾病の軽重,予後および治療効果判定の参考にすることができるので,リウマチ性疾患の補助診断法,その病状の推移および治療効果の判定,細菌感染症の有無の判定,癌などの組織の破壊がうたがわれるときの補助診断法,心臓の冠不全と心筋梗塞の鑑別診断法としてひろくつかわれるようになつた。その検査法は肺炎双球菌からとつたC—多糖体をもちいるより,CRPに対する抗血清をもちいる方が鋭敏でしかも特異的であるから,現在ではもつぱら抗CRP血清がつかわれている。すなわち不活性化した患者血清を毛細管に少量すいあげ,ついでほぼ同量の抗CRP抗血清をすいあげたのちよく混和し,37℃に2時間,ついで室温に1晩放置してCRP—抗CRP抗体の間の抗原抗体反応によつてできた白い沈降物を検出することにより検査血清中のCRPの有無を知ることができる。
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