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Ⅰ.はじめに
近代文明の進歩は,個人的社会的生活の複雑化を来し,人体に多くの身体的精神的刺激ないしはストレスをあたえ,我々は日常生活に於てたえず緊張状態におかれている。このような状態が生命活動の保持のため絶えず広範囲に活動し,且つ人体のあらゆる器官の活動に関与している自律神経系に及ぼす影響は極めて重要なものと云わざるをえない。耳鼻咽喉科領域においても,すでに各種の疾患につき自律神経との関連がとりあげられている。末梢迷路疾患については1922年Kobrak1)がメニエール病につきAngioneurotische Oktavuskriseなる概念を提唱して以来,多くの学者達が末梢迷路障害が自律神経系と深い関係を有し自律神経の失調が内耳血管運動障害と相俟つて迷路機能に影響をあたえるものであると考えられている。我々も2)3)4)すでにメニエール病をはじめとする各種迷路疾患の原因,病態或いは治療の考察に於て自律神経系関与の重要さをしばしば論じてきたのであるが,しかしそれでは一体これらの疾患に自律神経はどのような形で関与し,どのような自律神経異常がこれら疾患の原因となり得るかと云う問題になると,これを実際の臨床面で把握し診断,治療に活用するについては,客観的及び他覚的裏づけが足りないのが現状である。
一方このような問題を解決すべき自律神経機能検査法についてはEppinger u. Hess以来多くの検査法が提唱されているにも拘らず現在なお不満足の状態である。しかし最近ますます増加する傾向にあるメマイ平衡障害患者の自律神経機能状態を出来るだけ臨床実際面に於て正確に把握しその治療に役立てることは極めて重要な課題であると考える。
The functional activity of the autonomic nerves in perepheral diseases of the vestibular organ was studied by means of observing the reaction of the phenomenon of spotted decrease in electrical dermal resistance, the mecholyl and Schellong tests. The mecholyl test had a tendency to bring out the type P reaction (sypathetic hyporeactor), which was particularly prominent in cases of Menierre's disease. In the Schellong's test there is a tendency in which vegetative lability would be shown a reaction which was also prevalent in cases of Meniere's disease. The spotted decrease in electrical dermal resistance showed remarkable laterality on the shoulder and nuchea, especially in cases of menier's disease and sudden deafness.
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