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緒言
耳鼻咽喉科領域においては,その複雑な解剖学的構造及び各種反射が多い為に,手術時はもとより診断の場合にも他科よりもより速効的な持続性のあるそして局所の細部にまで達する局所麻酔薬及びその麻酔方法が重要である。従来,この目的を果す局所麻酔薬として,コカインが用いられ,局所表面麻酔にはその塗布が用いられて来たが,この薬剤は,その優れた麻酔効果のある反面,局所刺激症状及び強い毒性がある事が難点とされている。それ故,毒性の少ない作用発現の迅速な且つ長時間効果の持続する化学的に安定性のある新局所麻酔剤が要望されて来ている。
その新局所麻酔薬の1つとして,1943年SwedenのLöfgren及びLunquistによつて合成され,1948年,J. Gordhによつて始めて臨床実験が行なわれたXylocainは塩基性アニリドで,コカイン・プロカインとは異つた一種のアミド化合物であり,その毒性は,コカイン及びプロカインに比して非常に少ないものである。このXylocainについては今迄に我国でも多くの臨床報告例があり周知の事であるが,粘膜表面麻酔薬としては4%のXylocainが噴霧又は塗布として用いられて来ていた。これは,コカインに比して毒性が少ない点にて優れている上に,その麻酔深度の点でも一応満足すべき結果を得ていたが,全ての症例においては未だその目的を十分に果していなかつた。ここに,新たに藤沢薬品工業株式会社より8%のXylocainの試供を受けたのでこれを試用し,若干の知見を得たので報告する。
In various operative procedures of the nasal cavity, pharynx and larynx including bronchoscopy, in 75 cases, 8% xylocain was used as topical anesthesia. The results were highly satisfactory. Compared to any heretofore know agents for similar purpose the anesthetic action was deeper, faster and devoid any side-effects nor of any habit-forming symptoms.
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