Japanese
English
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耳鼻咽喉科領域に於けるα-キモトリプシンの注射療法
PARENTERAL USE OF α-CHYMOTRYPSIN IN THE DISEASES OF OTOLARYNGOLOGY
鍵冨 敏郎
1,2
,
昇塚 清臣
2
Toshiro Kagitomi
1,2
1新潟大学医学部
2新潟鉄道病院耳鼻科
pp.655-664
発行日 1964年7月20日
Published Date 1964/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203292
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Ⅰ.緒言
酵素療法は吾が国に於いては,かなり前から消化酵素の形で用いられており,外科的疾患に対しても,外用或は膿瘍排除の目的で,腔内注入などの手段により比較的早くから使用されて来た。しかしそれらも,手術々式の進歩と抗生剤の発見により一時は単にその補助的役割として,特に蛋白分解作用が利用されていたに過ぎなかつた。所が最近種々の酵素が,単に蛋白分解酵素としてのみならず,副腎皮質ホルモン類似の作用や,同時に他の酵素系の賦活作用を有し,抗炎症,抗浮腫等の作用が多数の研究者により,或いは実験的に或いは臨床的に証明されてから,単に炎症に対する抗生剤の補助的手段というより或る意味では炎症を伴わない疾患に対してさえもむしろ主役を演ずる様になつた。
特に1933年にα-キモトリプシンが分離され数多くの実験例と治験例が検討された結果,むしろこの酵素の抗炎症作用並びに抗浮腫作用が確認されてから,それまで注射による酵素剤の使用が種々の制約によつて困難であつたのに対し,安心して注射の出来る事と相俟つて,近年海外では酵素化学時代を迎えている。
α-chymotrypsin therapy by intramuscuscular injection was effected in 86 cases of inflammatory edema in the diseases of ear, nose and throat. The agent appeared to be more effe ctive in acute inflammatory cases than those of chronic ones.
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