特集 酵素検査法
生化学
トリプシン Trypsin/キモトリプシン Chymotrypsin
松村 義寛
1
1東女医大・生化学
pp.1244-1245
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907405
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いとぐち
膵の腺細胞は消化酵素の大群を分泌している.タンパクに対してトリプシノーゲン,キモトリプシノーゲンAおよびB,アミノペプチダーゼ,糖質に対してアミラーゼ,脂質にリパーぜ,核酸にリボヌクレアーゼなどというように多種多様のものがある.これらが膵の疾患に伴って血中に増量することになるので,アミラーゼ,リパーゼについてはすでに診断的意義が確立されているが,トリプシン,キモトリプシンについて血液を試料としての測定は必ずしも意義が評価されていない.おそらくはタンパク分解に対する防衛機構としてのトリプシン阻害体が産生されることにより,血中トリプシンと結合するためであろうと推定されている.
したがってむしろ,血中トリプシン阻害体量を測定する試みや,トリプシン酵素分子そのものを免疫血清反応を応用することで測定しようという企てもある.
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