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内耳性難聴・耳鳴に対するATP-2Na(アデホス・コーワ)の使用経験
沼倉 昌雄
1
,
本間 俊美
1
,
大沼 正明
1
1弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.625-628
発行日 1962年7月20日
Published Date 1962/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202888
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緒言
ATP(Adenosine triphosphate)はFisk及びLohmann(1929)等により筋肉組織滲出物中に発見せられた物質で,Lipmann(1957)等により完成されたTCA-cycle(Tricarboxylic-acid-cycle=Krebs-cycle)に於て,生体の生活現象に利用可能なエネルギーの供給源としての高エネルギー燐酸化合物(High-energy-phosphate-compounds)の代表的な存在であることが知られている。
小出(靖)氏は,内耳の主要エネルギー発生系が,脳におけるそれと同じくGlycosis,TCAcycle,Oxydative phosphorylation,Respiraitonという一連の代謝系よりなり,酸素が律速因子,糖が二次的因子であることを立証し,酸素及び糖が定常的に内耳に供給されて初めて内耳機能は正常の状態に保たれ得ると報告している。
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