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ホスタサイクリン使用経験
佐々木 享
1
1市立旭川病院耳鼻咽喉科
pp.623-624
発行日 1962年7月20日
Published Date 1962/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202887
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I.緒言
化膿性疾患の治療に際して,広い抗菌スペクトルを有するテトラサイクリン系物質の重要性は最近の如く,サルファ剤或は各種抗生物質耐性菌の感染が増加し,その治療に困難をもたらしている現状では,広く注目されている。然しながらテトラサイクリン系物質は在来局所的,全身的耐薬性が悪いために,その使用が極度に制限されていた。注射用テトラサイクリン新誘導体である,ピロリジノ・メチル・テトラサイクリン(ホスタサイクリン)は本剤のかかる欠点を除去する目的から作られ,中性付近のpHで1250mg/mlという勝れた溶解性をもち,加えて初期に高血中濃度が得られ,且長時間に亘り之を維持し得るという利点を認められ,既に1950年代の初期から注目されていた。
最近私は,耳鼻咽喉科領域に於ける重症感染症の一つと考えられる。舌並びに口底蜂窠織炎,及び耐性葡萄球菌による腺窩性アンギーナの患者にホスタサイクリンを用い,見るべき効果を収めたので,此処に報告し参考に供したい。
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