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スーダンでのラマダン
スーダン北部にはイスラム教徒が多い.イスラムの教えのなかにラマダンの励行がある.ラマダンとは,日の出から日の入りまで飲食が禁止される.唾を飲みことすら禁止されるのである.これが,1か月間続く.今年のラマダンは9月23日から開始した.イスラムでは太陰暦を用いているので,太陽暦に比べて1年が10数日ほど短い.そのため,ラマダンは1年10数日ずつ早くなっていくのである.来年のラマダンは9月の初旬ということになる.
さて,ラマダンのときの人々の暮らしぶりを紹介したいと思う.日の出前の4時半くらいに起きだし,お祈りをしたあとに簡単な朝食をとり,またしばらく休む.それから職場に行くのであるが,ラマダン月は,役所をはじめ多くの職場で始業時間が1時間遅くなる.冷房の効いたオフィスで働く人はまだよいが,外で働く肉体労働者などは午前中の早い時間のみの仕事になる.そうしないと体が持たないからである.昼前くらいから,もう木陰でゴロゴロしている人をたくさん見かけるようになる.レストランの類もいっせいに店を閉めている.売店などでも飲食物の販売を禁止しているところもある.そして,肉体労働者のみならず,オフィスワーカーも早々と職場を離れることになる.これでは,ラマダン月はまったく仕事にならないといってもよい.事実,ロシナンテスなどのNPOを管轄する官庁でも仕事は遅く始め,早く終了するために,まったく仕事が前に進まない.これに慣れた人たちはラマダン月に仕事を作らないように工夫している.私はラマダン月に仕事がまったくはかどらないことを知ってはいたが,うっかりしており,日本からの仕事を処理する必要性がこの月に発生した.もちろん,1か月間が無駄に流れていった.
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