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I.緒言
扁桃腺摘出術後の疼痛緩解には,以前より多くの報告があるが,その大多数は経口的,局所的使用,又は注射による。肛門坐薬による鎮痛剤の使用例は,耳鼻科では大沢氏の報告があるにすぎない。今回藤沢薬品より乳幼児用解熱,鎮痛,鎮静剤バリオメールの提供をうけ,主として小児の扁桃腺摘出後の疼痛,不安防止のために使用し,極めて良好な結果を得た。更に乳幼児の小手術にラボナール筋肉内注射及びノボカイン局所浸潤麻酔と併用し,すぐれた麻酔状態下に手術することが出来たので,ここに報告する。
J. R. Geigy社の小児用坐薬バリオメールは,1個中3,5-ジオキソ-1.2-ジフェニル-4-n-ブチルピラゾリジン(Butazolidin)30mg,日本薬局方アミノピリン70mg,クロヘプテニル・エチルマロニル尿素(Medomin)75mgを含有する白色の薬剤である。ブタゾリジンとアミノピリンの合剤であるイルガピリンは著明な鎮痛作用があり,同時に解熱作用を有す。メドミンは鎮静作用を有す。基剤にはイムハウゼンを使用したため,カカオ脂の坐剤の約倍の吸収率を有し,経口投与や筋肉内注射と大差ない血中濃度を,短時間内に得る事が出来る。小児科領域では熱性疾患に使用され,臨床的に全く副作用のない事が報告されている。
For postoperative sedation and analgesia among infants and children baliomel is used in suppository forms. The agent appeared to be more effective particularly after adenotonsillectomies than any other drugs that may be given hypodermatically. No side effects were seen. For minor surgery among infants baliomel was used in conjuction with intramuscular injection of ravonal ; favorable anesthetic state was obtained. The agent was also used for purposes of sedation ; no side effects were seen.
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